rain or shine

新潟在住30代 アルビサポ。 キャンプ、サッカー、酒の肴、kindle、麻雀。 キャンプの楽しみは料理と道具自慢。 サッカー観戦は有無をいわさず主観100%、媚びず見捨てず感情的に。

秋月記読了。

秋月記 (角川文庫) by 葉室 麟
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Last annotated on May 10, 2013
久闊Read more at location 1012
 
嘲弄Read more at location 1120
 
熟柿臭いRead more at location 1208
 

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陋劣Read more at location 1392
 

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(栴檀は双葉より芳し、Read more at location 1432
 
采蘋Read more at location 1584
 

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吝嗇Read more at location 2070
 

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寂寥Read more at location 2213
 

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精励恪勤Read more at location 2752
 

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小四郎はきっぱりと答えながら、ふと笑みをもらした。 「なんだ、何がおかしい」 「いや、すっかり交わりを絶っていたかと思ったお主が、ようわたしの頼みを聞いて猷殿を捜してくれたものだ、と思ってな」 「なんだ、そんなことか。お主、昔、緒方春朔殿と原古処殿は秋月の誇りだとよく言っておったではないか」 「ほう、覚えていたのか」 「わしは緒方殿を知らぬが、原殿にはお会いしたことがある。その原殿も先年、亡くなられて秋月の誇りはなくなったか、と思ったが、猷殿はその詩才を受け継ぎ、天下に名をあげているというではないか。だとすれば、猷殿がいまは秋月の誇りであろう。誇りは守らねばならん」  藤蔵がそっぽを向いて言うと、小四郎は頭を下げた。 「ありがたい。江戸生まれのお主がそこまで思ってくれたか。礼を言うぞ」  藤蔵はあわてて帰っていったが、小四郎はいつまでも頭を下げていた。胸には熱いものが込み上げていた。

「ひとは美しい風景を見ると心が落ち着く。なぜなのかわかるか」 「さて、なぜでございますか」 「山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。ひとだけが、おのれであることを迷い、疑う。それゆえ、風景を見ると心が落ち着くのだ」  余楽斎は織部が眺めている青々とした山並みを見ながら、確かにそうかもしれない、と思った。織部はチラリと余楽斎の顔を見てきっぱりと言った。 「間小四郎、おのれがおのれであることにためらうな。悪人と呼ばれたら、悪人であることを楽しめ。それが、お前の役目なのだ」  余楽斎の胸中に、藩政を陰から動かしていくことの後ろめたさがあることを見抜いていたのだ。  織部は立ち上がると、すべてを忘れたような顔になって屋敷の門をくぐって行った。余楽斎はしばらく頭を下げたままでいた。Read more at location 3819

 

馥郁Read more at location 3843

 

息をのむチャンバラ、背筋がのびるような読感。理想を追って時代遅れで自己犠牲を厭わない、そんな士に男は憧れる。

秋月記 (角川文庫)

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