rain or shine

新潟在住30代 アルビサポ。 キャンプ、サッカー、酒の肴、kindle、麻雀。 キャンプの楽しみは料理と道具自慢。 サッカー観戦は有無をいわさず主観100%、媚びず見捨てず感情的に。

いのちなりけり読了

偉丈
春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり
一顧もしなかった。
輔弼
婉曲
浅学
七息思案
奉公の目の付けどころが違うのではないでしょうか」 「奉公の目の付けどころと言われますと?」  小四郎は顔をあげて蔵人を見た。蔵人は、さればと声に力をこめた。
苛斂誅求
蕃山によれば、学問とは行うつもりがなければ意味がない、ただの床飾りであり、逆に行う覚悟があれば学ぶことはわずかでも足りるのだという。
煩瑣を極めた。
徳をもって天下を治めるのが、王であり、武力によって天下を取るのが覇者だと覚兵衛は言った。咲弥はふと、 (蔵人殿なら、どう思うのであろう)  と思った。何事にもおのれの考えのある蔵人に聞いてみたいという気がした。
水戸の近くの桜を雨の日にわざわざ馬を飛ばして見にいったことさえある。雨がそぼふる日の桜こそ風情があるとして、雨に濡れつつ桜を愛で、宴を開いて酒と詩歌を楽しんだのだ。
諫止
糊口
幕府の締め付けの埒外にある院政をこれ以上、認めたくなかった。
「そうだ。たとえば、生類憐みの令だが、天下に徳を広めるということは、古来より天子様が行われるべきことだ。武門の頭領がなすべきことではない。わしがそう思っていることが将軍家の気に召さぬのだ」 「俗にいう目の上のたんこぶでござるか」 「まあ、そういうことだ」  光圀は笑った。
知悉
五郎兵衛は刀掛に置いた刀にチラリと目を走らせた。昔から愛用している胴田貫である。間もなく、若侍に案内されて神右衛門が入ってきた。 「いささかおうかがいしたいことがあって参りました」  と神右衛門が切り出した。五郎兵衛は無表情に黙っている。 「わが主は古今伝授を得ようとしておりますが、これが将軍家に対し異心あってのことだとする噂を近頃、聞きつけました」 「ほう、それで」 「わが主に限ってさようなことはあるはずもないことでござる」 「さようか、それならば、それで結構ではござらぬか」 「はっ?」 「異心など抱かれておらぬのなら、何も騒ぎ立てることはござるまい。根も葉もないことなら噂も間もなく収まりましょう」 「それは、悪意を持って江戸に伝える者がいなければのこと。さようなことはされぬとお約束いただけますか」  神右衛門は鋭い目で五郎兵衛を見つめた。五郎兵衛の口の端がきゅっと上にあがった。 「そのような約束はできぬ」  五郎兵衛が言い終わらぬうちに神右衛門はかたわらの刀を取った。そのまま片膝を立て、抜き打ちに斬りつけた。その瞬間、神右衛門の目の前に畳が立ち上がった。五郎兵衛が煙管を畳の合わせ目に差し込み、撥ね上げたのである。  神右衛門は畳を斜めに見事に斬り裂いた。斬られた畳がバタリと倒れた。この時、神右衛門はのどもとに不気味に光る白刃を突き付けられていた。  五郎兵衛は神右衛門が畳を斬る間に床の間の刀を抜いていたのだ。五郎兵衛がわずかに動けば神右衛門はのどを突かれて死ぬだろう。 「負け申した」  神右衛門はため息をつくと膝をついた。これ以上、斬り合っても見苦しいだけだと観念していた。五郎兵衛はにやりと笑った。 「お主、その覚悟、誰に学んだ」 「御存じあるまいが雨宮蔵人と申す、わが藩を脱藩した者でござる」 「ほう、雨宮──」
「わしの狙い通り、江戸の死地へ向かって走るとは雨宮蔵人は愚か者だ。いや、江戸まで無事にたどりつけるかも怪しかろう。巴十太夫はもともと伊賀者だ。忍び崩れを使って道中で決着をつけようとするぞ」 「たとえそうであっても蔵人殿は走りましょう」 「なぜ、そう思う」  五郎兵衛は清厳をにらんだ。清厳は静かに瞑目した。清厳には東海道を疾駆する蔵人の姿が見えていた。 「蔵人殿は恋をしてござるゆえ」